【にむの屋】僕が死ぬまでの1秒間

オススメ度★★★★★

オナニーだけが慰めのミジメな大人に成長した僕は衝動に突き動かされるまま

「あの日」に戻って、思うままに、妄想(ユメ)の続きを。
少年時代、夏。同級生の家庭のシンママに一目惚れした「僕」は、
出来心から彼女の下着を盗んだのがばれ、激しくなじられてしまう。

強烈すぎた「性の目覚め」を引きずり、オナニーだけが慰めのミジメなアダルトに成長した「僕」はある日交通事故に遭い、
気がつくと意識はそのままにあの「運命の日」に戻っていた。

25年前の、今はもうない風景。耳をつんざくほどのセミの声。
戸惑う暇もなく、痛いほどの股間の滾りを目にした「僕」は衝動に突き動かされるまま
「あの場所」へ向かって……。

本文68ページ。

「僕が死ぬまでの1秒間」は、過去の行為に引きずられる男性の物語です。主人公は少年時代に起きた盗みでの出来事に悩まされており、大人になった今でもその影響を受けています。

交通事故に遭い、目を覚ますと主人公は25年前の夏の風景に置かれます。過去の記憶が鮮明によみがえり、セミの声や懐かしい風景が彼を包み込みます。彼は何度も悔やんだ「あの日」に戻ってしまったのです。

物語は主人公の矛盾した気持ちと内なる闘いを描きます。彼は再び「あの場所」へ向かい、葛藤しながらも衝動に従います。彼の選択や行動は読者の心を締め付け、深い感銘を与えます。

作者は繊細な筆致で、主人公の心の内側を鮮明に描写しています。過去の出来事への後悔や自己嫌悪、そして現実との葛藤がリアルに伝わってきます。また、人間の欲望や性の目覚めに対する描写も繊細ながらリアルであり、同時に読者に多くの疑問や考えさせる要素をもたらします。

短いページ数ではありますが、「僕が死ぬまでの1秒間」は読者に鮮烈なインパクトを残す作品です。過去の選択や行動がどのように人生に影響を与えるのかを問いかけており、読者は物語を通じて自身の行いや選択について考えさせられます。